動脈硬化症・高脂血症
日本動脈硬化学会は動脈硬化治療にあたり、ガイドライン2007年版を発表しました。
これは、心筋梗塞や狭心症を予防するための高コレステロール血症を中心としたガイドラインですが、今回、5年ぶりに改訂版を発表し、「高脂血症の診断基準」を「脂質異常症の診断基準」としています。
動脈硬化を起こす脂質異常状態(高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセライド血症)の総称として高脂血症から脂質異常症に名称が変更されました。心筋梗塞や狭心症(冠動脈疾患といいます)の発症には、加齢、高血圧、糖尿病、喫煙、家族歴、肥満についても危険因子として考えられていますが今回のガイドラインでも、危険因子への対応の重要性が強調されているとともにこれらを含めた治療の必要性についてもふれています。
つまり、薬よりもまず、ライフスタイルの改善から始めることで疾病の予防・改善を行なうというものです。
脂質異常症(高脂血症)とは
血液中の脂質(コレステロール,中性脂肪)が異常に高い状態を脂質異常症(高脂血症)といいます。
高脂血症が、長く続くと動脈が硬化して血液の流れが悪くなり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす恐れがあります。
プラスα
コレステロールとは
コレステロールは、体内の細胞膜やホルモンなどを合成する材料として、又食物の吸収を助ける胆汁酸の原料として必要不可欠なものです。
中性脂肪は皮下や内臓に蓄えられ、体のエネルギ−源になり、外部からの熱や寒さから身を守ります。
しかし、食物から摂る量が増えて血液中に溢れると、血管の内側に溜まり、動脈硬化につながります。
痛みを伴うことがないので、放置すると狭心症や心筋梗塞を進行させてしまったり、脳の血管が詰まって脳梗塞に至る恐れがあります。
血管の種類と構造
血管は、内膜、中膜、外膜の3層からなっています。動脈の壁は拍動性の血流と血圧に耐えられるよう厚く弾力があり、内部の圧が減っても丸い形が保てるようになっています。静脈の壁は薄く柔らかです。
動脈…心臓から出た血液を末梢(まっしょう)に運ぶ血管で、中膜の平滑筋(へいかつきん)と弾性線維(だんせいせんい)により伸縮性と弾性があります。末端は枝分かれして細くなっており、これを細動脈といいます。
静脈…毛細血管に続き、血液を心臓に送り返す血管で、中膜の平滑筋が少なく弾性も乏しくなっています。始まりの部分は細静脈といいます。場所により内膜に半月状の静脈弁を持ち血液の逆流を防いでいます。皮下組織内を走行する静脈を皮静脈と総称しています。
毛細血管…細動脈と細静脈とを結ぶ網目状の血管で最も細い血管(5〜20μm)です。壁は単層の内皮細胞からなり、平滑筋はありません。壁の細胞のすきまを通して、血管内の血液中と組織間で、栄養素、酸素、二酸化炭素、老廃物(ろうはいぶつ)などの物質交換が行われます。
私達は、自分の健康を守るためにどうすればいいのでしょう?
1)まずは、自分を知ることから
毛細血管が切れるのではないかとご心配ではありませんか?
中高年に近づくと脂質異常症(高脂血症)に関わるデータが気になってきます。
表1を参考に、ご自分の検査結果と比較してみてください。各々の数値を超える場合、または、低すぎる場合は、より詳しい検査をおすすめします。
表1 脂質異常症(高脂血症)の診断基準の設定(空腹時採血)
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LDLコレステロールが高い方
(LDL=悪玉コレステロール(注1)とよばれるもの) |
LDLコレステロール ≧ 140r/dl |
HDLコレステロールが低い方
(HDL=善玉コレステロール(注2)とよばれるもの) |
HDLコレステロール < 40r/dl |
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中性脂肪(トリグリセライド)の高い方
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中性脂肪(トリグリセライド) ≧ 150r/dl |
注1)善玉コレステロール(HDL):組織からコレステロールを肝臓に戻す働き
注3)悪玉コレステロール(LDL):肝臓から組織にコレステロールを運ぶ働き
プラスα
動脈壁内部は、一番内側にある内皮細胞という防護壁で覆われており、通常LDLは簡単に進入できません。しかし高血圧、高脂血、血小板などで傷がつき、血液中のLDLが増加していると傷口に入り込みます。
結果、動脈壁に脂質や線維が沈着して内壁が厚く、弾力を失って硬くなり血管の内径が細く詰まりやすくなります。(これを動脈硬化という)つまり、LDLが増えることで動脈硬化へ進行する可能性が高くなるので「悪玉コレステロール」と呼ばれ、逆に、HDLが動脈硬化を予防すると考えられているので「善玉コレステロール」と呼ばれているのです。
2)ライフスタイルの改善が必要です
コレステロール値が高いと動脈硬化が進み、様々な疾病の発症リスクが高まります。近年、コレステロール低下作用に優れた薬物治療が普及して冠動脈疾患が予防されるようになりましたが安易に薬剤へと依存するケースも多いようです。治療の基本は、まずライフスタイルの改善が必要です。例えば、適正な体重の維持、食生活の適正化、習慣的な運動量の増加、禁煙など私たちの日常生活を「健康スタイル」に見直す必要があります。
3)生活改善のポイント
@適正な体重の維持
標準体重の求め方:〔身長(m)×身長(m)〕×22
例)160cmの場合 1.6×1.6×22=56(s)
A食生活の適正化
- たんぱく質 :
コレステロールを多く含む肉類、卵よりも魚類、大豆たんぱく質を多く摂りましょう。
- 脂 肪:
動物性脂肪よりも植物性、魚類性脂肪を摂りましょう
- 食物繊維 :
野菜、きのこ類、こんにゃく、大豆などの食物繊維を多く摂りましょう
コレステロールの吸収を抑制し排泄を促す働きがあります。
- アルコール:
アルコールの摂りすぎは、中性脂肪を上げてしまいますので控えましょう
- 果 物:
果糖が多く含まれている果物など、糖質の摂りすぎは体内で脂肪に形を変えて蓄えてしまうため摂り過ぎないように。
B習慣的な運動
症状によって運動量が違いますが、特に医師からの禁止の指示がなければ、一般的には20〜30分、いつもよりやや早めのペースで歩くことをおすすめします。
(心臓疾患・高血圧などのある方は医師にご相談ください)
ライフスタイルの改善は、薬のように副作用がなく安心して、しかも自分で実行できる身近で有効な予防策です。毎日少しずつ・・・が特効薬なのかもしれませんね。
1)炭水化物
糖質と繊維を総称して炭水化物といいます。
私たちは、食べ物から糖質を取り込み、消化されグルコース(ブドウ糖)という物質に変換され、血液を流れて体内の各細胞に行き渡ります。このグルコース(ブドウ糖)は、グリコーゲンとして筋肉や肝臓に貯蔵されます。グリコーゲンは、私たちの活動のエネルギー源となりますが、体内の貯蔵量は、さほど多くはなく過剰に摂取された糖質は脂肪に形を変えて蓄えてしまうため摂りすぎには注意が必要です。また、グルコース(ブドウ糖)は、唯一、脳のエネルギー源となるため不足すると思考力にも影響を与えるといわれています。
2)消化吸収
炭水化物は口腔内に分泌される唾液アミラーゼ、小腸で膵液アミラーゼにより分解、小腸粘膜から分泌される分解酵素によってさらに低分子のグリコーゲン、ガラクトース、フルクトースなどに分解され吸収、肝臓へ運ばれ蓄えられます。
3)代 謝
体内に取り込まれたグルコース(ブドウ糖)は、次のような変化を受けます。
- 直接エネルギー源として利用される
- グリコーゲンとして一時的に貯蔵
- 中性脂肪に変化して貯蔵
- 必須アミノ酸の合成に利用される
- 血糖として体内循環
からだのしくみとスポーツ栄養の関係を知ろう
表1 からだ作りに必要なおもな栄養素
| 栄養素 |
働 き |
食 品 |
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糖 質 |
エネルギー源(脳や神経)
【不足】筋肉が落ちて疲れやすい、判断力・集中力に欠ける |
ご飯、パン、麺類 |
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たんぱく質 |
血や筋肉を作る
【不足】壊れた筋肉組織の再生ができない |
肉・魚・卵・大豆製品 |
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脂 質 |
エネルギー源(貯蔵エネルギー)
【不足】持久力がなくなる |
油脂類 |
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ビタミンB1 |
糖質をエネルギーに変える。疲労回復のビタミン。
【不足】疲労感、だるい |
豚肉、鶏肉、乳製品、豆腐 |
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ビタミンB2 |
脂質をエネルギーに変える
【不足】疲労感、口内炎 |
チーズ、卵、レバー |
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ビタミンC |
疲労、ストレスに役立つ
【不足】骨、関節、腱などを痛めやすい、免疫力の低下 |
柑橘類、トマト、ピーマン、
キャベツ |
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ビタミンA |
皮膚や粘膜を健康に保つ。抗酸化作用。
【不足】皮膚のかさつき、風邪を引きやすい |
レバー、人参、うなぎ
、
かぼちゃ、
卵、チーズ |
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ビタミンE |
活性酸素からからだを守る
【不足】筋肉のこわばり、血行不良 |
かぼちゃ、アーモンド、
ごま、
植物油 |
2)すべての栄養素に重要な働きがあります
〜炭水化物・基礎編〜
@炭水化物
食物栄養学科の「炭水化物」を参照していただき、スポーツ栄養における糖質の役割についてご紹介します。 糖質は、グリコーゲンとして筋肉や肝臓に貯蔵され、私たちの活動のエネルギー源となります。つまり、スポーツマン&ウーマンの持久力の素になるわけです。
A糖質のおもな種類
- 単糖類:グルコース(ブドウ糖)、フラクトース(果糖)、ガラクトース、マンノース 等
- ニ糖類:ショ糖(砂糖)、乳糖、麦芽糖 等
- 多糖類:でんぷん、グリコーゲン、セルロース 等
プラスα
単糖類、ニ糖類、多糖類の特性を活用しましょう!
もともと糖質は、鎖でつながったような形をした分子構造で、この糖質の分子が1つのものが、単糖類、組み合わせや数によってニ糖類、多糖類と分類されています。
単糖類は糖質の最小単位で、各糖類の違いは、吸収の違いを表します。
つまり、分子構造が小さいものの方が吸収のスピードが速いということになります。
単糖類は、速く吸収しますが持続性は、多糖類が勝っていますのでそれぞれの特性を生かして摂取することが必要です。 |
3)脳のエネルギー、判断力・集中力に必須栄養素です
単糖類のグルコース(ブドウ糖)は、唯一脳のエネルギー源となるため欠かすことは出来ません。
しかし、過剰に摂取された糖質は、脂肪に変わって体内に蓄えてしまうので食べ過ぎには注意しましょう。